計画停電のあと

夏季節電への取り組みは、電力ピークを下げ、供給と需要のバランスを取るための行動である。

各企業が夏季節電に取り組む際、そんな単純な事実を忘れ、何のための節電だったか、本来の目的を忘れてしまうことが多いのではないか。

なぜそう思うかというと、僕のいる会社が正にそうだからである。(笑)
昼間の電力ピークを避けるというより、全体の電力消費量を抑えることが主目的と、勘違いしているように見える。

ご存知の通り電力を直接的に蓄積する技術はまだ確立していない。ロスを抑えた効率的な送電を考える余裕もないぐらいであるから、蓄積どころではないのである。いくら夜中に節電しても、昼間の使用量がピークを超えれば原理的にはアウトだ。同様に、いくら土日にシフトしたところで、平日昼間の電力消費量ピークが下がっていなければ、効果は怪しい。いくら一週間の総使用量を減らしたところで、瞬間最大使用量のピークが、一番節電して欲しい時間帯に重なってしまったら、意味はない。

多くの企業も、そんなことは百も承知のうえで、企業の社会的責任という観点で、節電に追われているように見える。
簡単に言うと各企業にとっては、「電力を節約してみせる」ことが大事なのである。
CSRの観点で取り組みをアピールすることが大事なのである。
「あの会社は節電してない」と批判されることが怖いのである。

なぜそう思うかというと、繰り返すが、うちの会社がそうだからである。あ、親会社もだ。(笑)

馬鹿馬鹿しい世の中である。
東電のことを批判する資格など無いと言っていいだろう。

ホームユースであれば充電式製品がそれなりにあるし、最近話題の揚水発電も、個人的には期待している。揚水発電の原理を要約すれば、夜間の余剰電力を、水の高さエネルギーに変換して蓄積するということになる。揚水発電所は、現時点ですでに実現できている蓄電技術と理解できるが、数字を聞いた限り、とても現在の需給ギャップを埋められる力はなさそうだ。

やっぱり単純に、同時に働く昼間人口を減らすしかないのだな。

仮に、いま我慢して節電して貯めておくことができたらいいな。もしそうだったら、誰もが、夏のために頑張ろう、という気になるものだ。もしそうなったら、今の手当り次第の節電取り組みへの冷笑的な態度を僕も捨てて、誰よりも一生懸命、節電に励もうと思う。