入院7日目

杖は不便だ。手が使えない。見舞いで持ってきてもらったコーヒーを飲むのが楽しみだが、そのためには、ダイニングルームに行かねばならず、カップを持たねばならない。どうやって持っていくか。袋を持つ。しかし、袋を手に持つと、ぶらぶらして、杖にあたってうるさい金属音を立てる。朝早く、これで廊下を歩くと、大変な迷惑者になってしまう。そこで肩にかけてみる。しかし、松葉杖2本歩行は、けっこう激しい運動であり、だんだんずり落ちてくるので、使いにくい。結論としては、リュックが一番いい。

しかし病院にリュックを持ってきてはいないので、要所要所で右足ぴょんこも駆使しつつ、何とか、ごまかしごまかし、病院暮らしを続けている。

汚い話で恐縮だが、トイレまでようやく辿り着いて、ハンドタオルを忘れたのに気づき…なんてのはザラ。

トイレでしゃがむのは大冒険。とにかく、左足を地面に付けて荷重してはいけないのだから、左足をどうしていいのか、だんだん、持て余してくる。

ちょっとした日常の挙措のために、いちいち全知全能を絞っている気がする。小生はアホなのか?! それとも極度のぶきっちょなのか?!

とにかく、退屈するヒマがない。日々、疲れている。
気がつくとあっというまに食事の時間になり、
「そうだ、食後は先生に言われた運動を…」
と、足上げをやる。



でも、ある種の人々は、
「こんなに仕事が大変なときに、ごろごろ寝てばかりで、気楽なもんだ」
としか感じとれないようだ。

でも、そんな人間はごく一部であり、ほんと、多くのひとに、助けられてばかり。ありがたさでいっぱいだ。人の情が身に染みる今日この頃なのだ。