KVMとキーボードの相性について

またダラダラ書かせて頂きます…

『弘法筆を選ばず』というわけでもないが、僕はキーボードにはあまりこだわらない。いつも平均的な、昔ながらの109キーを使っている。109キーでさえあれば、多少デザインの違うキーボードに変えても、たいていはすぐなじむので、ブラインドタッチが崩れることもなかった。長年愛用したELECOMの黒くて重いキーボードにお酒をこぼして接触不良にしてしまい(もう何個も同じ原因で壊したので驚かない)、Logicool製の、安くてこなれたキーボードを買ってみた。Classic Keyboard 200という。店で見本をたたいてみて、安いけど使いやすい、と気に入った。

ところが、これが我が家では使えなかった。
我が家のシステムでは、PC三台を同時駆動するため、切替器をつかってモニター、マウス、キーボードを共有している。しかしそこは貧乏な僕なので、切替器は極度に安いものを使っている。RATOC製の、REX-410というやつだ。PS/2と、DSub15ピンのみ対応である。したがって、今時のUSBマウスやキーボードは使えない。USBをPS/2に変換するアダプタをはさめて使っている。Logicool製のキーボードは値段の割にタッチもそこそこ気に入ったのだが、いかんせん、この接続形態では動作しなかった。どうしたわけか、キーボードとして認識されないのである。

一応補足しておくと、メインマシンはデュアルディスプレイで使うため、フルHDディスプレイを専用としてDVI-I接続し、サブとして長年愛用してきたEIZOの15インチにDSub接続して使っている。なぜこんなにややこしくしているかというと、これまた安っぽい地デジチューナーをつないでいるが、これ、著作権保護機能とやらのために、最近の新しいディスプレイに、DVIで接続してあげないと、地デジチューナーが動かん。しかし私の切替器はDSub接続しか対応していない。そこで、ディスプレイを2台並べて使うようになった。サブ側の15インチは、先ほど紹介した超安かった切替器で共用している。しかし机が狭くて邪魔なので、アームを探してきて、机の外側にサブディスプレイを押し出せるようにした。デュアルディスプレイに興味があったわけでなく、上記のような成り行きでそうなったのだが、使ってみると、これが快適。ディスプレイは2つないと落ち着かないぐらいになった。ところが、何しろ机も、切替器に負けず劣らず安物である。数日すると、アームの重みで机の天板がひん曲がってきた。このままでは、バキッと音を立てて机が破壊される予感がしたので、慌ててホーマックでL字型の金属部品を買ってきて、ドリルでねじを打ち込み、補強した。貧乏暇無しである。

この切替器、個体の問題か、僕の環境の問題か、突然ピピピと断続的にうなり続け、特定のサブマシンに切替えてしまうと言う、お茶目な挙動でずいぶん僕を困らせてくれた。文字を打っている最中にマシンが切り替わるのはツライものである。よほど、ちゃんとしたKVMに買い換えようかと思ったが、KVMのいいやつはご存じの通り高い。2系統切替はそこそこの値段だが、4系統になると、急に高くなる。そこで我慢した。で、どのマシンをどのポートにつなぐかを替えて、落ち着く組み合わせを探した。自分なりに手で覚えた切替番号が変わってしまい、いまだに
「あれ?Ubuntuは何番だっけ?」
と悩むことがある。非生産的なことこの上ない。

そんな切替器だから、最新キーボードが動作しないぐらいで驚きはしない。
慌てず、別のキーボードを買った。それが、ELECOMのTK-UP01MALBKというやつである。(最後の"BK"は色を示す記号だね)
これ、けっこうキーの弾力があり、かつ、左右が狭くてコンパクト。机にも金をかけないのでいつも狭いところで作業している僕にはぴったり、非常に気に入った。ただ、INS,DELなどの特殊キーが、Fnを押しながら使うという仕様に少々辟易はしたが、冒頭に書いたような次第で、きっとすぐ慣れるだろうと、たかをくくっていたのである。

ところがどっこい!このたび初めて、自分の手に徹底的に合わないキーボードに出会ったようだ。
弘法でもない僕が、キーボードを選ぶのは当然のこととも言えるが、それにしても、手が慣れない。

悪いキーボードではないのだが、とにかく押し間違える。悪いのは僕だと思うが、とにかく手が合わないのだ。2ヶ月ぐらい我慢したかな。
特に、QWERTYの上の数字をいつも間違えるのに閉口してしまった。何が指の位置を狂わせるのかわからないが、毎回キーボードを見ないとわからない。何が悪いのか全くわからないが、とにかく間違える。ファンクションキーも間違える。ファンクションキーは、僕は、IMEでアルファベットを半角にするときに、F9・F8を連続で押す癖がついていて、どうしても、手が狙った位置に行ってくれないと困るのである。キーアサインを替えろとか、このIMEなら手軽に変換できるとか薦められても、ダメなのである。

この際、Happy Hacking Keyboardデビューしようか、とも思ったが、すぐキーボードに酒をこぼす僕には、キーボードは即日壊れても惜しくない程度の値段しか予算は出せないのである。(その割に、机の上に平気で裸族のお立ち台を置いてHDDをむき出しにしているが……)

というわけだから、新春早々、売り出しの電気屋でふと見つけたOwltech KB86STDというとてもコンパクトなキーボードに一目惚れして、買って帰ってきた。

これはいい。非常に手になじむ。キーを打つスピードが久々に上がった。

ところが、世の中はなかなかうまく行かない、というか、安物だけで済むなら高級品は要らないわけである。何かが起きるわけである。先ほど紹介した切替器との相性で、なんと、マウスが認識されないケースが見つかった。

いろいろ試してみて判ったが、このOwltechのキーボードを外し、BIOSがKeyboard Errorと抜かすのを無視してPCを起動すると、ちゃんとマウスは今まで通り使えるのである。ちなみに、このキーボードに限らず、我が切替器クンは、時々健忘症にかかり、例えば3台のウチ1台のPCだけ終了したりすると、突然マウスもキーボードも認識しなくなるという症状を多発する。

そんな時に備えて、小型のキーボード(小さすぎて使いにくい)とマウスを、それぞれのマシンのUSBに挿している。これならひと安心、と思いがちだが、よくよく考えてみるとこうやって各マシンにデバイスをつないでおくのでは、切替器を使う意味がない。

というわけで、また、PS/2とUSBの変換アダプタを取り替えて色々試しているうちに、急に収まった。しかしいずれ、またおかしくなると思うので、やはり今度こそ、2、3万出しても、一生使えるKVMを買うべきか?