母が膵臓癌と診断された

月に一度の、薬をもらう通院の際、黄だんと診断されて検査し、膵臓に腫瘍が見つかった。同居している息子の僕から見ても、別段黄色いようには思えなかった。本人も僕も「え?」という感じである。しかし週末に入院することが決まった。

金曜午後に入院することとし、僕も会社を早退して、一緒についていった。
金曜の朝、いつも通り僕を送り出す母の顔は、僕の目にもハッキリわかるほど、黄色かった。
昼、あわてて帰ってくると、目も黄色かった。

親父が死ぬときそうだったので、僕は動転した。しかし一番ショックなのは本人だろう。

……

月曜に管を入れた検査を行い、その後、どこかに紹介状を書いてもらって転院治療となる。手術は不可避とのこと。
しかし、胆管が完全に詰まってしまっているので、他の病院に移る前に、鼻から管を入れて、胆汁を外部に出す処置が必要。(これがかわいそうだ、つい先週までカラオケ屋でCDを吹き込んだり、今朝まで、せっせと買い物したり掃除したり元気にしていた母が……)

最初の診断の際の先生は、東京医科大学八王子医療センターを勧めた。病院の評判や、通院のしやすさを考えるとここにしたい。
今日の診断は院長先生で、国立がんセンターを勧めた。国立がんセンター中央病院は築地にあり、評判は当然いいが、昨年、麻酔界が一挙に五名辞めたり、手術待ち時間がすごく長い(公開サイトの『疾患別検査・治療待ち時間一覧』で確認すると、『膵がん・膵腫瘍』は5週間待ちとなっている)

膵頭、というらしいが、ここの腫瘍はほぼ100%良性はあり得ないと院長は教えてくれた。
また、ネットで調べると、摘出は、該当箇所だけ、というわけには行かず、胆嚢、十二指腸、胃の一部まで取るのだそうだ。
そこまでしても、生存期間は長くないらしい。

だとすると、できれば切らずに済ませてあげたいという気持ちがある。
胆管だけ流れるようにする、という処置はないのか?先生に尋ねたが、腫瘍が転移するから、取らねばとのこと。

本人は、既にわかっているので、隠してもかえって不信を募らせるだけだ。
僕は、正直にすべて、本人に伝えた。